鉛筆

仕事や勉強に使う筆記用具として鉛筆をたまに使っている。今までもたくさんの鉛筆を使ってきたが、手元に鉛筆がまだ20本程度あるからだ。これら鉛筆は幼稚園や小学校の頃に誕生日会等でもらったプレゼントである。ミニマリストではないが、基本的に物は少なくをもっとうとしているので、多少使うかもと思うものでも捨ててしまうことが多いが、この鉛筆はなかなか捨てようとは思えなかった。

残りも少なくなってきた鉛筆

だが、小学校の頃は鉛筆を使っていたものの、その後の中学、高校、大学、社会人では鉛筆はあまり使うこともなく、シャープペンを使ってきたので、まだ鉛筆がたくさん残ることになった。だが、最近は法律の勉強が軌道に乗ってきたので、法律の勉強時には鉛筆を使うようにしているので、少しずつ減り始めてきた。それでもこの約40年保管してきた鉛筆を使い切るにはまだ数年かかるかもしれない。

手の腹の部分を黒くするのは小学校以来か、大学で製図を行っていた時ぐらいしかないが、それに心地よさを感じながら、約40年保管してきたこの鉛筆達の本分をしっかりと果たしてもらおうと思う。

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行政庁の処分、違法性の承継(2024司法試験-行政法)

〔設問1〕(1)本件事業計画変更認可の処分性

・行政事件訴訟法3条2項
:この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

・取消訴訟の訴訟要件
①処分性、②原告適格、③訴えの利益、④被告適格、⑤管轄裁判所、⑥不服申立前置、⑦出訴期間

・行政庁の処分
:公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているもの(最判S39.10.29)Ⅱ-143

最判S60.12.17は強制加入団体の設立行為を根拠に処分性を肯定。
↓しかし、
本件事業計画変更認可の処分性を肯定する根拠とならない。
↓そこで、
都市再開発法および下記参考判例から規範定立→あてはめ→結論

・土地区画整理事業計画(最大判H20.9.10)Ⅱ-147
:事業計画が決定されると、施行地区内の宅地所有者等の権利にいかなる影響が及ぶかにつき「一定の限度で具体的に予測することが可能」となり、施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることにより、一定の規制(建築行為の制限等)を伴う土地区画整理事業の手続にしたがって換地処分を受けるべき地位に立たされ、その法的地位に直接的な影響が生ずるとして、事業計画決定に伴う法的効果は一般的・抽象的なものではないとする。
また、換地処分等を受ければその取消訴訟を提起できるとしつつ、そこで事業計画の違法の主張が認められたとしても、事情判決がされる可能性が相当程度あり、権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難く、事業計画の適否の争いにつき「実効的な権利救済を図るためには、事業計画の決定がされた段階で、これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性がある」としている。

〔設問1〕(2)本件事業計画変更認可の違法性

・都市再開発法、都市計画法から手続的違法、実体的違法の問題提起→規範定立→あてはめ→結論。
(試験時間内に個別法から一連の流れを導き出せるのか?)

〔設問2〕本件事業計画変更認可の違法性の主張の可否(違法性の承継の可否)

・違法性の承継
:先行処分の出訴期間経過後に後続処分の違法性を争おうとする場合に当該後続処分の前提とされた先行処分の違法性を主張することができるか、という問題。

後続処分において先行処分の違法性を主張することが遮断されないとすると違法性が後続行為に承継され、先行処分の公定力が実質的に否定されてしまうために問題。

伝統的学説としては、「先行処分と後行処分とが相結合して一つの効果の実現をめざし、これを完成するものである場合」に特別の規定のない限り違法性の承継を認め、「先行処分と後行処分とが相互に関連を有するとはいえ、それぞれ別個の効果を目的とするものである場合」にはこれを否定する。

・違法性の承継(最判H21.12.17)Ⅰ-81
:実体法上の目的・効果の同一性基準に加え、先行行為につき取消訴訟の排他性を認めることが原告の手続保障の面で十分か、違法性の承継を認めることが原告の権利利益救済の実効性に照らして必要かという、手続法的観点を加味。

参考文献
:行政法〔第6版〕・櫻井敬子 橋本博之(弘文堂)
 行政判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第8版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2024・法学セミナー編集部(日本評論社)

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職業選択の自由、表現の自由(2024司法試験-憲法)

1.犬猫販売業の免許制(規制①)(職業選択の自由)

・経済的自由権
:職業選択の自由、居住・移転の自由、財産権

・憲法22条1項
:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

・職業選択の自由
:自己の従事する職業を決定する自由+営業の自由(自己の選択した職業を遂行する自由)

・職業
:人が自己の生計を維持するためにする継続的活動であるとともに、分業社会においては、これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するものである。(薬事法判決-最大判S50.4.30)

・厳格な合理性の基準
:裁判所が規制の必要性・合理性および「同じ目的を達成できる、より緩やかな規制手段」の有無を立法事実に基づいて審査。

・明白の原則
:立法府がその裁量権を逸脱し、当該規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とする方法。

2.犬猫販売業の広告規制(規制②)(表現の自由)

・憲法21条1項
:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

・表現の自由を支える価値
:個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値(自己実現の価値)と言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという民主政に資する社会的な価値(自己統治の価値)

・二重の基準
:表現の自由を中心とする精神的自由を規制する立法の合憲性は経済的自由を規制する立法よりも、特に厳しい基準によって審査されなければならない。
↓根拠
①経済的自由は民主政の過程が正常に機能する限り、議会でこれを是正することが可能である。それに対して、精神的自由は民主政の過程そのものが傷つけられるために裁判所が積極的に介入する必要があるため。
②経済的自由の規制について審査する能力に乏しい裁判所としては、特に明白に違憲と認められない限り、立法府の判断を尊重する態度が望ましいため。

参考文献
:憲法〔第八版〕・芦部信喜(岩波書店)
 憲法判例百選Ⅰ〔第7版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2024・法学セミナー編集部(日本評論社)

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凡ミス

工事中の現場監督から連絡があった。「シャッターボックスが壁に当たってきます。どうしましょうか。」
どういうこと?最初、何を言っているか分からなかった。

赤線部分がサッシの入る予定だった場所

この建物は準耐火建築物のため、隣地境界線から5mの範囲内の2階以上の開口部は防火設備にする必要がある。ちなみに、「防火設備」とは、建築基準法に規定されている火災発生時に火の延焼を防ぐための設備で、窓ならガラスに金属網が入っているものである。ただ、この開口部は周囲を壁や格子で囲まれており、加えて隣地側は通路となっているので、実際に近隣で火災が起きても延焼する可能性はかなり低い。だが、そんな実際の状況は関係なしで杓子定規に法律を当てはめると防火設備にする必要があるため、仕方なく防火設備にせざるを得ないという開口部である。

また、住宅用サッシにも防火設備の設定はあるが、どのメーカーも最大でも幅1.6m高さ2.2m前後の大きさで選択肢がとても少ない。そのため、計画では幅や高さともに住宅用の防火設備では大きさが不十分なため、防火設備ではない一般サッシを設置して外部に防火シャッターを付けることになった。

だが、敷地は街中で準防火地域にあり、かつ、混構造の3階建てのため、高さ方向の制約がある。そして、その制約に逆行する建築主要望として天井高を高くとりたいという要望があった。可能な限り、天井高は高くとり、かつ、開口部もその天井高にできる限り合わせるように計画したが、シャッターボックスは窓のさらに上に設置する必要があり、一部、壁とシャッターボックスが干渉してしまった。

RevitやTwinmotionで実物に近い状態で検討を重ねて、計画内容を把握していたにも関わらず、シャッターボックスが壁と干渉するという初歩的な問題で急遽対策を検討する必要が出てきた。だが、ピンチはチャンスではないが、だからこそ元の計画よりもより良い案がないかと調べたり、現場監督の意見を聞きながら、防火設備の木製サッシや折れ戸の商品を見つけ出し、代替案を4案考え、それを建築主に提示した。それぞれの案のメリットデメリットを建築主に説明し、建築主の意向も踏まえながら、結局、元の計画である、一般サッシ+防火シャッターの仕様で壁に当たらない程度に狭めるという結論に至った。

設計という仕事はデザインや利便性の検討も重要だが、「確認」することが最も重要だと思う。法的制限、建築主との打合せ内容、建材の仕様・寸法・性能、等。確認作業は手間もかかるし、それを行ったからと言って建物の仕上がりが格段に良くなる訳ではない。だが、手戻りを防いだり、無駄なコストの発生を抑制したり、いろいろとメリットも大きい。その確認作業のために設計図面を丸一日、見返すこともあるし、CAD以外のソフトで多角的にその作業を行ったりすることもあるが、設計業務を20年もやっていれば大きな抜けはないものの、小さな抜けはどんなに確認を繰り返してもゼロにはならない。だが、ゼロにする努力はすべきであるし、ゼロにならなくてもその姿勢はきっと建物の完成に反映されているはずだと信じている。

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司法試験もしくは予備試験の勉強の方法

司法試験、予備試験の勉強の方法をいろいろと模索してきた。司法試験に合格した人が書いた合格体験記を読んだり、司法試験に合格して弁護士として活躍している方のブログや動画を見たりもしてきた。私自身も今までの経験で過去問の有用性は知っているので、ひたすら過去問を解き続けたり、予備校本が良いと言われればそれを使って、司法試験委員会の担当する人の基本書が良いと知ればそれを使ってみたり、とあらゆる方法を試してきたが、なかなかしっくりと来なかった。

以下、今までいろいろと調べて、試して、重要だと思うこと。
・「定義・趣旨・判例・条文」を「理解・記憶・表現」すれば「合格」する。
・過去問、基本書、六法、判例は全てツールでしかなく、
 表層を眺めていても血肉化しないし、知識が分散してしまう。
 「知識の記憶」が最重要である。
・短答は1問/2分で解く。論文は主要科目なら30分で答案構成、90分で記述。
・短答過去問を単に解いていくと歯抜けの知識となり、網羅性に欠けて意味がない。
 その分野の目次や要約を自分で作れるぐらいに網羅すること。
・「問題提起→規範定立→あてはめ→結論」の法的三段論法の基本を忘れないこと。
・記憶の定着は、1日後、1週間後、1か月後が重要であること。
・論文とは物語(問題文)を整理すること。答案構成とは目次を作ること。
・70%を取れば合格する。100%を目指す努力は無駄。
・点ではなく、面で学ぶこと。
・アクティブリコール法(インプットしたものを白紙の紙に書きだす等)は有効。
・教科書をいくつも使わない。情報を一元化していくこと。
 (基本書、六法、判例等の情報を論証集に一元化する等)

今まで予備試験の短答が終わってまた来年頑張ろうと憲法から勉強を始めても刑事訴訟法まで辿り着かないことが当たり前だったが、生活リズムの変更、そして、司法試験論文過去問を解くのではなく、解説や解答を読みながら周辺知識を勉強していくやり方に変えて手応えを感じるようになった。約1か月で憲法から刑事訴訟法までの論文過去問1年分の範囲を勉強することができた。自分の中では大きな変化だ。来年の予備試験短答まではこの生活リズムと勉強方法で続けたいと思う。また、過去の司法試験過去問の概要を備忘録として今後残して行きたいと思う。

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