植栽工事

工事中の現場は建物は去年の年末にほぼ終わっていたが、最後の植栽工事を年明けから行ってもらっていた。その植栽工事も終わり、最終の現場確認で訪れた。

コート1とコート2の2か所を和と洋の雰囲気で大きく分け、それぞれに適した植栽を建築主や造園屋との打合せで方向性を決めて樹種等を決めていった。完成した様子を見て、画竜点睛、植栽が入ったことで建物がようやく完成した、という実感が湧いてきた。今回初めて依頼した造園屋さんであったが、質問あれば逐一連絡を入れてくれて、また現場打合せでは建築主意向を踏まえつつ、提案もしっかりしてくれて当たり前と言えば当たり前のことだが、この仕事をしてきてその当たり前のことが当たり前ではないことが身に染みている私からするとまたお願いしたいと思える仕事振りだった。

来週にはようやく建築主への建物の引渡しの予定。3年かかって申し訳ないと思いつつ、振り返ってもそのどの時間のどれをとっても重要な時間だったと思う。今年の春で私も設計事務所を始めて丸10年。それを記念すべき建物の設計と完成だったと胸を張って言えることを私自身がうれしく思う。そして、何よりこれからの10年、20年と建築主がこの家で快適に暮らしていけることを心から願う。

この建物と次に会えるのは今年の春過ぎ頃に撮影でお邪魔する時になる予定である。今回は初めて動画撮影もプロに依頼するので、今からその動画も楽しみである。

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建設学科の同級生

作業の合間にネットニュースを見ていたら見覚えのある顔が。建設学科の同級生だった。ここしばらくは会っていないが、大手ゼネコンの設計部で頑張っており、このネットニュースの記事では先日の万博で会社を代表してインタビューを受けていた。

彼は私と同じく純粋な建設学科生ではなく、彼は大学入学時は土木系のクラスに所属していたが、その後、一念発起して建築系へとなんとか転向することができた。さらに努力を続け、彼は卒業設計で最優秀賞を受賞していた。

一番覚えていることといえば、卒業設計の製作で誰もが徹夜続きで提出期限が迫る中で精神的にも肉体的にも疲弊している時に、彼から急に来てくれと呼ばれたと思ったら、彼は模型を指差し、「ここから見たら最高なんだよ。」と目を輝かせて設計趣旨を説明しだした。心の中では、その模型や設計趣旨はどうでもよく、お前のその心意気が最高だよ、と言ってあげたかった。

その後、彼は大手ゼネコンの設計部で何万㎡、何十万㎡という大きな建物の設計を行い、私の方は地元の設計事務所で経験を積んだ後に個人事務所として、細々と設計を続けている。時折、直接会った時や人づてで彼が設計業界の第一線で頑張っている話を聞きつつ、私は、私は、と思う所はゼロではないが、いつか彼が驚くような設計を行いたいと考えている。規模もやっていることも全く違うが、その心意気だけなら負けないと考えているから。だから、次に会う時はお互いのその心意気が感じられる近況でも話せればと思う。

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おとり捜査、強制処分、任意捜査、訴因変更(2022司法試験-刑事訴訟法)

〔設問1〕〔事例1〕記載のおとり捜査の適法性について

・おとり捜査(意義)
:捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者がその身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出た所で現行犯逮捕等により検挙する捜査手法(参考判例 おとり捜査 最判H16.7.12 11)

刑訴法上、明文規定はない

・強制処分法定主義(197Ⅰ但書)
:捜査目的を達成するために「必要」な行為であっても、それが「強制の処分」に当たる場合には「この法律に特別の定のある場合でなければこれをすることができない」

・強制処分(意義)
:相手方の明示または黙示の意思に反して行われ、その重要な権利・利益に対する実質的な侵害ないし制約を伴う処分

・任意捜査(意義)
:強制処分を用いて行う捜査を強制捜査といい、それ以外の手段による捜査のこと
→任意捜査の原則

・捜査比例の原則(意義)
:正当な目的を達成するために「必要」かつ「相当」な範囲で行わなければならない(197Ⅰ)(強制処分の回避)

・刑訴法における捜査の一般的な規律の枠組み
:1)強制処分(197Ⅰ但書)にあたるかどうか、2)任意処分であれば比例原則の規律に服する

・おとり捜査は強制処分にあたるかどうか

甲は取引の過程で渋る態度は示しているものの、最終的には自己の意思で売買に応じており、その意思に反するものとはいえない。仮に動機の形成過程に錯誤があったとしても、国家から干渉を受けずに犯罪を犯す自由は法的保護に値しない
↓したがって、
本件おとり捜査は任意捜査である

・任意捜査として比例原則(必要性、補充性、相当性)の規律に適合しているか

本件は薬物犯罪で直接の被害者がおらず、かつ密行性も高いため、一般的・類型的な捜査が困難な犯罪の類型である。また、具体的に甲には過去に大麻密売の嫌疑が認められる上、本件との関係でもAによる電話により、甲が今でも大麻を密売していることは確認できている。
↓したがって、
おとり捜査による必要性が認められる

過去の大麻事件の捜査過程でも、甲の身元や所在地は関係者の供述からも不明であった上、甲がAにかけてきた電話番号の契約名義人も実在しなかったことから、通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難であったといえ、補充性も認められる
↓なお、
甲がサンプルを持参した時点で現行犯逮捕すれば足り、その後は必要性及び補充性を欠くとみる余地もある。しかし、当初からPらは甲による大掛かりな大麻密売の全容解明につなげることを目的としており、それ以降の経緯も正当な捜査目的を実現する上ではやむを得なかったと言わぜるを得ない
↓以上より、
本件おとり捜査は具体的な状況のもとで相当と認められる
↓したがって、
本件おとり捜査は任意捜査として比例原則の規律に適合しており、適法である

〔設問2〕小問1.〔資料1〕の公訴事実に対して〔資料2〕の罪となるべき事実を認定し、判決をすることが許されるか

・訴因変更(312Ⅰ)
:公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の変更が許されること
↓(趣旨)
被告人の手続的負担増大や不意打ち等の回避

新訴因が被告人に対して旧訴因とは別個の刑事責任を発生させる事由として主張されている場合には否定され、同一又は単一の刑事責任の発生事由として主張されている場合には肯定される

・訴因の機能
:1)裁判所との関係で審判の対象を限定すること、2)被告人に対して防御の範囲を示すこと、3)被告人に不意打ちを与えるものではないこと

・本問において乙が放火したこと自体には変わりがなく、実行行為の具体的な方法ないし、態様に差異が生じているにすぎない
↓よって、
構成要件該当性の判断に影響はないので、審判の対象に変更はない(1)
↓しかし、
具体的な放火の態様は防御にとって重要な事項であり、起訴状においても訴因として明示されているので、訴因変更を要すべき事実の変動といえる(2)
↓また、
検察官は放火の態様に関して追加の主張、立証の予定はないと答え、被告人側としては起訴状通りの放火の態様のみが争点であると考えるのが自然であり、資料2での認定は被告人に対して不意打ちとなる(3)
↓以上より、
裁判所は訴因変更を経ずに資料2の通りに判決をすることは許されない

小問2.裁判所が前記の心証に従い、事実認定の理由として、共謀が成立したのは同月2日である旨説示した上で、〔資料3〕のとおりの事実を罪となるべき事実として認定し、判決をすることが許されるか

・共謀に加わった者の範囲及びその中から実行行為が行われたこと、実行行為の日時及び場所、並びに被害結果が特定されている以上、共謀の日にちまで特定せずとも、当該事件を他の事件から区別し、処罰請求の根拠となる構成要件該当性を判定することは可能である
↓したがって、
検察官の釈明内容は訴因の内容をなすとまでは言えず、これと異なる認定をするには必ずしも訴因変更を経る必要はない
↓もっとも、
本件では共謀の日にちは11月1日に絞られており、それをめぐって攻撃防御が行われているにもかかわらず、同月2日での成否については一切の防御の機会が与えられていないので、たとえ判決理由中であっても2日を根拠に共謀を認定すれば、被告人にとって不意打ちとなる
↓以上より、
裁判所は訴訟指揮権を適切に行使し、11月2日での共謀の成否を改めて争点として顕在化し十分な審理を遂げた上でなければ、資料3の通りの罪となるべき事実を認定することは許されない

参考文献
:LEGAL QUEST 刑事訴訟法〔第3版〕・宇藤崇、松田岳士、堀江慎司(有斐閣)
 刑事訴訟法判例百選〔第11版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2022・法学セミナー編集部(日本評論社)

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横領罪、正当防衛、窃盗罪、緊急避難(2022司法試験-刑法)

〔設問1〕甲に(委託物)横領罪の成立を認める場合、(1)「甲はAに頼まれて本件バイクを保管している以上、これを「横領」すれば横領罪が成立する」という主張の当否(横領罪の客体)。(2)「甲が実家の物置内に本件バイクを移動させて隠した行為は「横領した」に当たる」という主張の当否(横領行為)。

・委託物横領罪(252Ⅰ)
:自己の占有する他人の物を横領した場合に成立(5年以下の拘禁刑)
↓(保護法益)
・所有権及び委託関係
↓(客体)
・自己が委託関係に基づいて占有する他人の物(利益横領は不可罰)

・委託が違法でしかも無権限の場合に委託者との信任関係を保護する必要はないので、委託信任関係が欠ける以上、委託物横領罪は成立しないと解すべき
↓したがって、
(1)の主張は妥当でない

・横領(意義)
:不法領得の意思を実現する一切の行為(領得行為説(判例・通説))

・不法領得の意思(意義)
:他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思(参考判例 横領罪における不法領得の意思(1) 最判S24.3.8 Ⅱ-66)

・物の効用を享受する意思なく、専ら隠匿するための行為は「横領」に該当しない
↓したがって、
(2)の主張は妥当ではない

〔設問2〕乙の罪責について

Ⅰ.乙がAの腕にナイフを突き刺し、傷害を負わせた行為について

・傷害罪(204)
:人の身体を傷害した場合に成立
・傷害(意義)
:人の生理機能の侵害

・正当防衛(36Ⅰ)
:急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しない
↓(要件)
1)急迫不正の侵害

・侵害の急迫性
:被侵害者の法益が侵害される危険が切迫したものであること
・「正当防衛」の趣旨
:急迫不正の侵害という緊急状況の下で公的機関による法的保護を求めることが期待できないときに侵害を排除するための私人による対抗行為を例外的に許容したもの(参考判例 侵害の急迫性 H29.4.26 Ⅰ-23)

以下、内容を検討し、刑法36条の趣旨に照らし許容されるものとはいえない場合には侵害の要件を充たさない。
①行為者と相手方の従前の関係、②予期された侵害の内容、③侵害の予期の程度、④侵害回避の容易性、⑤侵害場所に出向く必要性、⑥侵害場所にとどまる相当性、⑦対抗行為の準備の状況、⑧実際の侵害行為の内容と予期された侵害の異同、⑨行為者が侵害に臨んだ状況、⑩その際の意思内容

2)権利の防衛であること
:正当防衛は急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために認められる

3)防衛行為であること
:防衛の意思をもって、防衛するための行為でなければならない
(↔積極的加害行為は防衛の意思を欠く)

4)やむを得ずにした行為(防衛行為の相当性)
↓(判断基準)
①侵害行為と防衛行為の法益の種類、態様、強度の比較
②より危険性の低い手段を採ることの容易性

・本問では、甲はAとかつて同じ不良グループに属しており、Aの性格や過去に怒りにまかせて他人に暴力を振るったことを知っており、激怒したAのもとに出向けばAから殴る蹴るなどの暴力を振るわれる可能性が極めて高いと思っていたので、甲には侵害のほぼ確実な予期があり、実際にその予期通りの侵害が行われている(①②③⑧)。また、甲はAの呼び出しに応じる必要がなく、バイクの件を含め事情を警察に話して助けを求めることも不可能ではなく、そうすべきであった(④⑤)。そして、包丁を準備して現場に臨み、威嚇もなく突き出している(⑦⑨)。
↓以上の事情に基づけば、
正当防衛として甲を保護することが刑法36条の趣旨に照らし許容されるものとはいえず、侵害の急迫性は否定される
↓なお、
他人の権利を防衛する事例においては、被侵害者の予期やその他の事情を基礎に急迫性を判断すべきであり、乙が侵害を予期していないことは本問で急迫性を認める理由にはならない
↓以上より、
乙の行為には侵害の急迫性が否定され、正当防衛は成立しない

・誤想防衛
:正当防衛にあたる事実が存在しないのに存在すると誤信した場合

・過剰防衛(36Ⅱ)
:防衛行為が「防衛の程度を超えた」場合には、正当防衛として違法性は阻却されずに過剰防衛となり、犯罪が成立する

・誤想過剰防衛
:急迫不正の侵害が存在しないのに、それが存在すると誤想して、それに対し、反撃行為を行った場合であって、誤想した侵害が実際に存在するとした場合に許容される範囲を超えた行為を行ったとき

・乙に関して誤想防衛として故意が阻却されるかを検討する必要がある

乙の認識では現在の侵害が存在するので急迫性が認められる。また、甲を助けようとしているので、防衛の意思もあるが、やむを得ずにした行為と言えるかが問題となる

乙の認識では、Aの侵害行為は素手による殴打であるのに対し、乙の防衛行為はサバイバルナイフという命中箇所によっては死亡結果をもらたす可能性も十分ある危険な刃物が用いられており、右上腕部を狙っているという事情を考慮しても、防衛行為の危険性は侵害行為の危険性を大きく超えている。また、乙には警告や威嚇をするなど他に危険性の低い手段が可能で、甲と二人がかりで防衛する状況にもなりうることを考えれば、それで十分実効性があったと言える。
↓以上の事情を考慮すれば、
乙の行為は「やむを得ずにした」とは評価できない。

・誤想防衛の事例で過失犯が成立する場合、刑法36条2項の適用の余地がないこととの均衡から、誤想過剰防衛の場合にも急迫不正の侵害の誤信に過失があれば、過失犯の刑より軽く処断することは不適切なので刑の免除まではできないと解すべき。もっとも、本問では、緊急状況下で乙の誤信に過失がないものと解され、免除を認めても不均衡はない(理解が難しい)

Ⅱ.乙がDの本件原付を無断で発進させた行為について

・窃盗罪(235)
:他人の財物を窃取した場合に成立

・財物(意義)
:有体物(空間の一部を占めて、有形的存在を持つ固体・液体・気体)(有体性説(通説))
・財産的価値(意義)
:(客観的)交換価値はなくとも、(主体的)使用価値が認められれば足りる
・占有(意義)
:財物に対する事実上の支配
→客観的要件=財物に対する支配(占有の事実)と主観的要件=支配意思(占有の意思)を総合して社会通念に従い判断
・他人の財物(意義)
:他人が所有権を有する財物
・窃取(意義)
:他人が占有する財物を占有者の意思に反して自己又は第三者の占有に移転させること

・窃盗罪の成立を肯定するには主観的要件として、他人の財物を窃取することの認識(窃盗罪の故意)のほかに、不法領得の意思が必要

・不法領得の意思(意義)
:権利者を排除して、他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い、利用・処分する意思

・乙は本件原付をAの追跡を振り切り安全な場所まで移動するために一時的に利用するつもりだったので、明文にない要件である不法領得の意思が問題となる

本件原付の価値は低くなく、まさに被害者が現在利用している最中であった。乙はAを振り切るために利用するつもりなので利用時間自体は短いかもしれないが、乙は逃げた後その場に本件原付を放置して立ち去るつもりなので被害者にとっては権利が事実上喪失したのと同じである。以上の事情からすれば、犯行時に乙の想定する使用方法に可罰性が認められることは明らかであるため、不法領得の意思は否定されない
↓したがって、
窃盗罪の構成要件該当性は認められる

・緊急避難(37Ⅰ)
:実質的違法阻却原理としての同等利益・優越的利益を法定(違法性阻却事由説(通説))
↓(成立要件)
1)自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難
:人の生命、身体、自由又は財産の侵害の危険が切迫している状態
2)避けるため
:現在の危難を避けるための行為
3)やむを得ずにした行為
:危難回避の方法が他に存在しない場合に認められる(補充性の要件)。これに加え、避難行為を行うことが相当であると認められること(避難行為の相当性)が必要
4)害の均衡
:避難行為を行った結果として、「これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった」ことが必要

・自招危難
:避難行為者自身が現在の危難を招き、その危難をそれにさらされた者から他人に転嫁した場合

自招危難について緊急避難は成立しない(参考判例 自招危難 大判T13.12.12 Ⅰ-32)

・乙の窃盗行為に避難行為の相当性があるかが問題となる

行為者自身が自己の法益に対する危難を招いているので、第三者の法益を保護する事例と異なり、要保護性の低下がある。たしかに、保全法益は身体で場合によっては重大な傷害を負いかねないものであるのに対し、侵害法益は財産であるが、その価値は必ずしも少ないとは言えない。また、自招行為は、他人を助けようとして行われたものではあるものの、故意の傷害で明らかに過剰で危険性の高い行為であり、それによって生じた自己の身体への危難を財産侵害とはいえ他者に転嫁すべきとは言い難い
↓したがって、
自招危難を理由に相当性は否定され、緊急避難は成立しない

Ⅲ.結論

・乙には、Aに対する傷害罪とDに対する窃盗罪が成立し、両者は併合罪になる。傷害罪については、過剰防衛として刑法36条2項が準用され、刑の減免の可能性がある

参考文献
:刑法〔第4版〕・山口厚(有斐閣)
 刑法判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第8版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2022・法学セミナー編集部(日本評論社)

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年末年始

例年同様、今日は1/1だが図面を書いている。一昨年の1/1は能登半島地震の揺れを感じながらいつものカフェでパソコンに向かって図面を書いていた。去年の1/1も図面を書いていた。

去年は物価高等の諸事情でいくつかの案件が止まっているような状況にも関わらず、振り返ると忙しかったという印象しかない。案件が止まっているような状況で、何故、忙しかったのかは分からないが、常に集中して図面を書いていたような気がする。

去年の年末にはいくつかの止まっていた案件が動き出して、一気に忙しくなってきた、と考えていたら、過去にないような案件のプレゼン提案依頼も舞い込んだ。また、打合せが終わった後に気づいたが、昨日の12/31も別件で打合せをしていた。さすがに12/31の打合せは初めてだったが。我ながら正月から年末まで年中忙しくて大丈夫ですか、と聞きたくなる。

ただ、自分に言いたい。大学の図書館で将来の展望を見出せないような不安の中で受験勉強をしていた頃。北大工学部の噴水前で青い空が灰色に見えたようなあの瞬間。3ヶ月以上休日が取れない中であまり良いとも思えない建物の図面をひたすら書いていた設計事務所での暗澹たる気持ちの頃。図面を書く時間よりも部下のクレーム対応の時間が長く思えるような時間を過ごしていた頃。それらを考えれば、決して恵まれた状況ではなくとも、自分の気持ち一つで好きな設計に打ち込めるこの状況に感謝すら感じる。今の私がすべきことは究極的には、より良い建物の設計を行うことだけだからだ。だから、今日が正月だろうが、休日だろうがは関係ない。無理ないペースで設計の仕事を継続することができるだけでも有難い。

私は体は丈夫な方だが、それでも設計の仕事を続けられるのは長くてあと30年、できればあと40年と考えているが。おそらく来年の年末年始も図面を書いているだろう。その翌年も、さらにその翌年も。できるだけその時間が長く続くことを祈る。それが続けられるように今年もできるだけ頭を動かしながら、最善を尽くして設計に向き合っていきたいと思う。

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