タイル1つで

タイルの仕様を決めるために約5時間、パソコン画面とにらめっこしている。調べたタイルメーカーはもう何社目か。各メーカーのデジタルカタログを何度も見直しては、作成しているパースにこれかと思うタイルの色味と風合いを落とし込んで確認するが、どうもしっくりこない。

少し前には別件でタイルの仕様を決めるのに5分で決められたのに。何故、5時間もかかるのか。

タイル1つでこんな時間を費やしている場合ではなく、他にも検討すべきことは盛り沢山だから、逆算すると恐ろしくなる。

だが、経験上、分かっている。タイル1つでこんなに悩むということは、このタイルは計画している建物に大きな影響があるということを。そして、ここで手を抜いたり、納得しないまま突き進むと、後々、後悔するということを。

たぶん今日中にはそのタイルの仕様は決まらないだろう。だが、これから誕生する建物のためにも、最低限、設計者である私が納得して決めていくことが、その建物のためにすべき最も重要なことなのだと思う。

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臨機応変に

盆や正月は関係なしに、変わらず一定のペースで自分のすべきことを頑張っている。そして、その一定のペースとして、去年の春から続けている、8-11時:法律の勉強、11-17時:建築の仕事と勉強、23時:就寝、7時:起床、という生活を。たまに寝るのが遅くはなるが、風邪も引かずに肉体的精神的に無理も生じていないので、ちょうど良いペースなのだと思う。

ただ、去年は物価高影響で仕事の案件の進捗が滞りがちで良くも悪くも余裕があった。だが、去年の年末頃からその滞りがちだった複数案件が一気に動き出したので、年末年始頃からバタつき始めている。そして、来月はいろいろな締め切りが集中しそうなので、いろいろ考えた挙句、来月は法律の勉強はいったん止めて建築に集中することにした。

今までも仕事が忙しくなって法律の勉強をいったん止めたこともあったが、忙しさに流され、再開は半年後ということもあったので、ちゃんとスムーズに再開できるかに多少の不安は感じる。だが、法律の勉強は私だけに留まる事柄だが、建築の仕事となると私だけの事柄では留まらないので、どうしても優先順位は高くなる。また、無理してペースを保って、結果、関係者に迷惑を掛けることはどうしても避けたいので、来月は割り切って建築に集中したいと思う。仕事だろうが、勉強だろうが、ペースも大切だが、その時その時の状況に合わせて臨機応変に動くことの方が大切と思う。来月はどっぷり建築に浸り、再来月からは通常のペースに戻せるように今は建築のみに集中して頑張ろうと思う。

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最善を尽くす

昨日、高知へ設備設計者と打合せを行うため、朝から出発した。

高知駅のプラットフォーム
プラットフォームには珍しい木造

高知駅には度々訪れるが、いつもはここからレンタカーで移動しているので、ここから電車に乗るのは初めてだった。設計は内藤廣氏。スギ集成材と鉄骨トラスによる混構造の大屋根がダイナミックだった。

現在計画中の旅館増築計画は、温泉が絡み、設備設計者の重要性が高いので、あえて地元高知の設備設計者へ依頼している。ただ、高知と神戸は距離もあるので、そう頻繁には会って打合せも難しいが、計画内容もかなり煮詰まってきたので、設備設計者との打合せのためだけに高知へ降り立った。打合せ場所は高知市内ではあるが、市の中心部から少し離れており、また駅からも離れており、公共交通機関の接続もうまくいきそうにないので、いろいろ検討した結果、打合せ場所の最寄り駅から散歩がてら歩いて向かうことにした。

約30分近く歩いて、予定の打合せ場所に時間通りに到着し、早速、打合せを始めた。今までの計画内容のおさらいや新たに出てきた情報を共有しつつ、いろいろと具体的に内容を煮詰めることができた。

一段落着いた時に設備設計者から「打合せのためだけにこんな遠くまでご苦労様です。」と言われ、とっさに「やっぱり会って打合せしないと内容の共有は難しいので。」と答えた。実際、最近は実務上、Zoomやメール等、会わずに連絡のやり取りがほとんどである。だが、経験上、面と向かって相手の表情を見ながら打合せすることで、言葉だけでは分からないそれ以外の情報も得られるので、できるだけ実際に会って話す機会を設けるように心がけている。

そして、それ以上に私なりの筋を通したいことがある。一つの建物を完成させるためには、設計者である私だけが能力の100%を発揮して必死に頑張っても限界があることは分かっている。建築主、施工者、その下請けの職人さん、構造設計者、設備設計者、…と、その建物に関わる1人1人が能力の100%とは言わないものの、その人にしかできないことを100%近い能力を発揮してもらわないとこちらの考える100%超の建物の完成はできないからである。それが可能になるなら時間や労力を割いてでも、その人と話して情報を共有し、その人にしかできないことをきっちり遂行して欲しいからである。言い換えるなら、建築主だけがお客様ではなく、それ以外の人全員がお客様だと考えている。

今回の設備設計者との打合せは実り多いものとなったと考えている。情報やこちらの思いも伝えたので、きっと設備設計者の能力を発揮した、より良い設備計画になるはずである。そう、ただ、これも「はず」で絶対ではない。私自身が完璧でないように私以外も完璧ではないから。そして、世の中、いろんな人がいるから。だが、今までいろいろその点で悩んできたが、結局、私がすべきこと、できることは、相手方に会って話して、情報や思いを伝える以外にない。だから、あとは相手を信じるしかないと割り切っている。結果は出てきて初めて分かるが、私がすべきこと、できることは物事の全体を見渡して、必死に頭を働かせて、その目の前の相手に対して、考えうる内容で最善を尽くすことだけだと考えている。

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引渡し

初回の打合せから引渡しまで丸3年。ようやく引渡しの日を迎えた。昼から通信関係の工事、各設備関係の説明を施主に説明している内に日も暮れて辺りは暗くなってきた。照明の付いた夜間の現場は初めてだったが、日中とは違う雰囲気で建物の違う側面が見れたような気がした。

水盤も以前から工事は完了していたが、夜間に水を流す状態を初めてみたが、家の中にこんな潤いのある場所があることに設計者ながらうらやましく思えた。

今まで設計してきた建物でもいろんな出来事があり、いろんな思いもあるが、この家はいろいろな出来事や思いが格段に多い。そんな家が完成して、感無量な気持ちになったが、また明日もいつも通りに図面を書いていこうと思う。こんな気持ちを再び味わえるように。

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相殺権、別除権(2022司法試験-倒産法)

〔設問1〕B社による相殺の可否について(A社:令和3年10月25日破産手続開始決定)

・相殺(民505Ⅰ)
:債権者と債務者との間に同種の債権債務が対立している状態にある場合には、その対等額について相殺を行うことができる

破産手続開始前に破産債権と破産者に対する債務とが対立状態にある場合には、破産手続開始後も破産債権者が破産手続によらずに自由に相殺できる(67Ⅰ)

・破産手続開始後の債務負担に基づく相殺は禁止(71Ⅰ①)
・破産手続開始後の債権取得に基づく相殺は禁止(72Ⅰ①)

債権者の平等の原則に反する

・参考判例 三者間相殺の可否 最判H28.7.8 71
:再生債務者に対して、債務を負担する者が当該債務に係る債権を受働債権とし、自ら完全親会社と同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は、これをすることができる旨の合意があらかじめされていた場合であっても、民事再生法92条1項によりすることができる相殺に該当しない

民事再生法92条1項の適用は「相互性」の欠如から否定され、また、あらかじめされていた再生手続に対する三者間相殺の合意の有効性についても否定(人のふんどしで相撲はとれない)

・参考判例 無委託保証人の事後求償権の破産債権該当性と相殺制限 最判H24.5.28 70
:無委託保証人が主たる債務者の破産手続開始前に締結した保証契約に基づき、同手続開始後に弁済をした場合において保証人が取得する求償権を自働債権とし、主たる債務者である破産者が保証人に対して有する債権を受働債権とする相殺は破産法72条1項1号の類推適用により許されないと解するのが相当

相殺の担保的機能に対する期待と債権者の公平・平等の対峙

・(1)B社は令和3年11月1日、C社から債権②を譲り受け、当該債権を自動債権として相殺を主張している場合

受動債権である債権①の債務者はB社であり、自働債権である債権②の債権者はC社であり、同じ主体が債務を負担しているのではなく、相互性を欠く
↓したがって、
B社による相殺の主張は認められない

・(2)A社の委託を受けて((3)受けないで)C社との間で債権②に係る債務を保証する旨の保証契約を締結し、同年11月1日、同契約に基づいてC社に全額の弁済をし、これにより生じた求償権を自働債権として相殺を主張している場合

委託がある場合、B社には同契約に基づいてC社に全額を弁済したことにより生じた求償権を自働債権としてする相殺に合理的な期待があるものということができ、B社による相殺の主張は認められる

委託を受けない場合、B社の求償権を自働債権とする相殺は、破産手続開始後に他人であるC社の債権を譲り受けて相殺適状を作出して、C社から譲り受けた債権を自働債権としてする相殺に類似しており、B社による相殺の主張は破産法72条1項1号の類推適用により許されない

〔設問2〕(1)E銀行が破産債権の届出をした本件貸金債権について、本件破産手続の最後配当の手続に参加するためにはどのような手続をとる必要があるか

・別除権(2Ⅸ)
:破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき、特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について65条1項の規定により行使することができる権利(破産財団から別のものとして除く権利)

担保権実行後も残存する被担保債権がある場合(担保がオーバーローンの状態)には、その残額について破産債権者として権利を行使できる(108Ⅰ)

別除権者が不足額について配当を受けるためには、届出期間内に別除権等の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権額、いわゆる予定不足額を届け出なければならない(111Ⅱ)

・別除権者が最後配当の手続に参加するためには、原則として、最後配当に関する除斥期間(198Ⅰ)内に、破産管財人に対し、当該別除権によって担保される債権の全部又は一部が破産手続開始後に担保されなくなったことを証明するか、当該担保権の行使によって弁済を受けることができない債権額(確定不足額)等を証明しなければならない(198Ⅲ)。担保目的物が実際に換価され受領した額を示すことにより確定不足額を証明する資料としては、担保権実行としての競売手続で換価された場合は、競売手続の配当表(民事執行法85)が任意売却により換価された場合は、売却の契約書・領収書が挙げられる。
↓したがって、
E銀行は最後配当の除斥期間内に確定不足額を証明する資料として、競売手続の配当表を破産管財人に提出する必要がある

参考文献
:倒産処理法入門〔第6版〕・山本和彦(有斐閣)
 倒産判例百選〔第6版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2022・法学セミナー編集部(日本評論社)

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