手帳

最近ならスマホでスケジュール管理する人も多いと思うが、私は変わらずアナログの手帳を使っている。手を動かして、消しては書いてを行っている。手を動かす方が頭の中と連動しやすい感じがするのと、記憶に残り易いからである。

話はずれるが、小学校等もデジタル化が叫ばれて時間が経ち、タブレットを使うのが当たり前になりつつあるが、先行していた国々はすでに学力低下を懸念してタブレット使用を止めていっている。読む、書く等のアナログの効用が明らかになってきたからである。1周遅れている日本が残念な気がする。当たり前の話だが、どれか一つの方法だけで解決する問題はあまりない。適材適所、いろんな道具を使って、かつ、頭を使って問題を解決することが結局、一番効率が良いように思う。

いつも使っている手帳

ルーズリーフタイプの手帳もあるが、1年1年がきっちり終わる方がなんとなく潔い気もするので、1年タイプの使い切りの手帳を使っている。また、年末年始は予定が入りがちなので、9月始まりの手帳にしている。

少し前に来年度の手帳を購入した。使い終わった手帳はしばらく捨てずに数年分を保管していた時期もあったが、結局使うこともないので新しい手帳に引き継ぎが終われば順次捨てている。

真っ新な手帳を開くと無限の未来が広がっているような気がする。これから1年の真っ新な手帳にどんな予定が書き加わるのか。それを楽しみに今年度の手帳も真っ黒になるぐらいに使い込みたいと思う。

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処分性、原告適格、執行停止、行政裁量(2023司法試験-行政法)

〔設問1〕(1)本件解職勧告が取消訴訟の対象となる処分に該当するか否か

・取消訴訟の訴訟要件
①処分性、②原告適格、③訴えの利益、④被告適格、⑤管轄裁判所、⑥不服申立前置、⑦出訴期間

・「行政庁の処分」
:公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているもの」(最判S39.10.29 Ⅱ-143)

・病院開設中止勧告(最判H17.7.15 Ⅱ-154)
:病院を開設しようとする者に対して、医療法に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告・病床数削減の勧告について医療法の仕組み上、勧告は行政指導にすぎないが勧告を受けた者がこれに従わない場合には、相当程度の確実さをもって健康保険法上の保険医療機関指定を受けられないという結果をもたらし実際上病院の開設を断念せざるを得ないことになり処分性を肯定

①後続処分が相当程度の確実さをもって行われ、
②後続処分の効果が重大な場合には行政指導たる勧告であっても処分性を肯定

本件解職勧告は②に該当するものの、①は当てはまらず事案が異なる

・行政手続法は不利益処分における意見陳述のための手続を処分が与える不利益の程度に応じて聴聞と弁明の機会の付与の2種類に分けて規定する。聴聞手続にはより手厚い手続的保障が与えられているが、弁明手続は聴聞手続と比べて略式の手続となっている。(行手法13Ⅰ①)
・聴聞手続
:行政庁による通知⇒主宰者の下での聴聞(審理)⇒行政庁による処分
口頭意見陳述権、証拠書類等提出権、文書閲覧請求権、等が認められる
・弁明手続
:行政庁による通知⇒弁明書・証拠書類等の提出⇒行政庁による処分(書面審理主義)
↓したがって、
本件解職勧告では聴聞よりも手続保障の程度が低い弁明の機会の付与しか定められておらず、やはり行政指導であって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定するものではなく、処分性は認められない

〔設問1〕(2)Dに原告適格が認められるか

・原告適格
:「法律上の利益を有する者」(9Ⅰ)について、「当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう」とした上で、「当該処分を定めた行政法規が不特定多数の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめずそれが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は当該処分の取消訴訟における原告適格を有する(最大判H17.12.7 Ⅱ-159)

〔設問2〕(1)執行停止の要件である「重大な損害」(25Ⅱ)について

・行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為について民事保全法の定める仮処分をすることができない(44)
↓ただし、
執行不停止の原則(25Ⅰ)の例外として、
①処分の効力の停止、②処分の執行の停止、③手続の続行の停止、により執行停止を認める(25Ⅱ)

・執行停止の積極要件
①本案訴訟の係属
②重大な損害を避けるため緊急の必要がある時
第一次的考慮事項:損害の回復の困難の程度
第二次的考慮事項:損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質(25Ⅲ)
・執行停止の消極要件
①公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
②本案について理由がないとみえるとき

・参考判例
:弁護士懲戒処分の執行停止(最判H19.12.18 Ⅱ-192)
「社会的信用の低下、業務上の信頼関係の毀損等の損害」が「重大な損害」にあたるとして、執行停止を肯定

〔設問2〕(2)Aの違法事由の主張内容

・行政裁量
:法律が行政機関に独自の判断余地を与え、一定の活動の自由を認めている場合のこと
↓ただし、
裁判所は裁量処分について裁量権の逸脱・濫用があった場合にのみ取り消すことができる(30)
↓なぜなら、
裁量行為について裁判所の審査範囲が限定されるのは裁量が個々の問題ごとに実際に執行活動にあたる行政部門の方がより的確な対応ができるという立法者の判断に基づいて認められるものであり、したがって、裁判所も基本的には行政庁の判断を尊重するのが好ましいという考え方に依拠している

・裁量が問題となるステージ
①事実認定
②法律要件の解釈と認定事実のあてはめ(要件裁量)
③手続の選択
④行為の選択(効果裁量)(どの処分を行い、その処分をするかしないか)
⑤時の選択

・裁量審査の基準
:どのような場合に裁量権の逸脱・濫用があったといえるか

・判断過程審査
:裁量処分にいたる行政庁の判断形成過程の合理性について審査する手法
・参考判例
:「基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当を欠くものと認められる場合」に裁量権の逸脱・濫用になる(都市計画と裁量審査-最判H18.11.2 Ⅰ-72)

参考文献
:行政法〔第6版〕・櫻井敬子 橋本博之(弘文堂)
 行政判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第8版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2023・法学セミナー編集部(日本評論社)

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建築設計の仕事の進め方

自分で10年間建築設計事務所を営んできて導き出した仕事の進め方は以下の通りである。

・プレゼン、プロポーザル
1週目:調査・計画(敷地確認、法的制限調査、関連資料の収集、ラフプランの作成)
2週目:作図(revitでの作図、twinmotionでのパース作成、説明文言の内容検討)
3週目:仕上げ(提案内容の再確認、図面レイアウトのチェック)
→提案図面提出

・実際の案件の工程(例-木造2階建て、延床面積40坪、1,2週間に1回ペースの打合せや現場監理)

(参考)工程表

以下、注意事項

・「基本設計」は打合せ、「実施設計」は設計。両方が完全に終わって初めて着工できるし、その時点で着工すべき

・図面1枚を書くのに検討を含めると1日では終わらない。1日以上かかることを忘れずに
(計画内容は確定している前提で、かつ、毎日作業したとしても図面50枚なら最低でも2カ月はかかる)

・設計中、着工中の3件程度が動いている状況を作る
(案件が増えすぎるとクォリティーが落ちる)

・図面は打ち出して確認すること。設計とは確認すること

・50坪の家と100坪の家では作業手間が異なる。単純に2倍ではない。それ以上である。
工程には余裕をみること。

・新たな価値観を提案したいなら、その価値を理解し協力してもらえる優秀な人を探し出すべき(建築主、構造設計者、設備設計者、施工者、そして、何より自分自身を優秀にさせる)

・特殊な内容は専門業者を探せ(木製サッシ、ガラススクリーン等)

・詳細図は下記の流れで進める
①参考になる本を見ながら手書きで検討、②CAD化、③打ち出した図面に赤入れ、④2と3の繰り返し

・シンプルな建物はRevitltのみで良いが、複雑な建物(壁厚の種類が多い、枠納まりが複雑等)はCADが適している

・建築主を必要としない設計を目指す(自らが建築主となる)

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生存権、平等権(2023司法試験-憲法)

・論点①:年齢要件(生存権と立法裁量)

・社会権
:生存権(25)、教育を受ける権利(26)、勤労の権利(27)、労働基本権(28)

・生存権
:「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(25)

・朝日訴訟(最大判S42.5.24 Ⅱ-131)
:①25条1項はすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように、国政の運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に具体的権利を賦与したものではない(プログラム規定)
②何が「健康で文化的な最低限度の生活」であるかの判断は厚生大臣の裁量に

・堀木訴訟(最大判S57.7.7 Ⅱ-132)
:「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない」

(参考判例)
・学生無年金障害者訴訟(最判H19.9.28 Ⅱ-134)
・生活保護基準改定による老齢加算廃止(最判H24.2.28 Ⅱ-135)

・論点②:性別要件(平等権と事柄の性質)

・法の下の平等
:「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」(14Ⅰ)

事柄の性質に応じた合理的な根拠のない法的な別異取扱いの禁止

・法適用の平等ではなく、法内容の平等

・絶対的な平等ではなく、相対的な平等
:恣意的な差別は許されないが、法上取扱いに差異が設けられる事項(例えば税、刑罰)と事実的・実質的な差異(例えば貧富の差、犯人の性格)との関係が社会通念からみて合理的である限り、その取扱い上の違いは平等違反ではない

(参考判例)
・尊属殺重罰規定判決(最大判S48.4.4 Ⅰ-25)
・国籍法違憲判決(最大判H20.6.4 Ⅰ-26)
・堀木訴訟(最大判S57.7.7 Ⅱ-132)

参考文献
:憲法〔第八版〕・芦部信喜(岩波書店)
 憲法判例百選Ⅰ〔第7版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2023・法学セミナー編集部(日本評論社)

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下地工事から仕上工事へ

現在工事中の案件は下地工事がおおよそ終わり、仕上工事へと進んでいる。来月には懸案だったガラススクリーン工事も始まり、工事は佳境へと進む。

この建物はロ準耐火建築物である。ロ準耐火建築物と聞いてもぴんと来ない人がほとんどだと思うが、一般的には鉄骨造のALC外壁の建物のことを指し、今回のように木造の建物でそれをすることは稀である。さらに、この建物は3階建ての住宅で、かつ、200㎡超のため、法的には竪穴区画が発生する。竪穴区画があるとその部分は防火設備で閉じる必要があり、非住宅なら一般的だが、住宅ではこれも稀なパターンである。そのため、結構な時間をかけていろいろと調べた結果、ほぼ木造の建物だがロ準耐火建築物にすれば竪穴区画を回避でき、またそのような建物も世の中に実際にあることが分かり、事前に構造設計者や確認検査機関にその旨を伝えて、後から大きな手戻りがないように下準備を入念に行った。

だが、蓋を開ければ構造設計者も確認検査機関もその特殊性をあまり具体的に認識しておらず、大きな手戻りが発生した。私自身は事前にそれが分かっていたからこそ、それを関係者に繰り返し伝えていたが、結局そのような状況を回避できなかったことが悔しい。

また、世の中に木造のロ準耐火建築物は実際に存在しており、その具体例も調べて理解した上で設計図を作成したが、結局、確認検査機関としてはそのやり方は認めない、ということで作業の手戻りも発生した上にコスト増になってしまった。その全ての経緯を建築主にも伝えたが、特に怒る訳でもなく嘆く訳でもなく、仕方がない、の一言で終わらせてもらったことに建築主へ感謝もしつつ、それ以上に申し訳なさで一杯だった。

ガラススクリーンと木造のロ準耐火建築物という特殊内容で時間と労力をかなり費やしたが、今、ようやくそれらの工事が始まろうとしている。経験則上、だからこそ、ではないが、現場はいたって順調である。

特殊なことはリスクも生じる。だからこそ、時間と労力をかけてそのリスクをできるだけ低減するようにするが、何事も絶対はない。だが、絶対に近づく努力は突き詰めなければならない。プロとして仕事をするなら、「努力はしました、頑張りました」では済まされない。結果でしか物事を語れない。図面を書き終えて何カ月も経ち、現場も今は順調に進んでいるが、ふとした時にガラススクリーンは無事施工できるのか、ロ準耐火建築物の納まりはあれで本当に問題なかったか、等が脳裏をよぎる。すべきことはやったのだから、あとは待つしかできないが、それでもまだできることがあるなら労を惜しまずに最善を尽くしたいと思う。

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