小規模事業者持続化補助金

以前からいろいろな補助金があることは知っていたが、今年の春から建築基準法が改正され、今まで使っていた構造系のソフトを買い直す必要が出てきたこと。また、以前に撮影している画像データから動画データを作成したい、等、仕事に関わる内容でいろいろと出費する内容が出てきたので、補助金に関して初めてきちんと調べ始めた。

いろいろな補助金があり、素人目に見てもなんだかとても大盤振る舞いで、日頃ニュースで国債をさらに大幅に発行しないと国の財政が破綻する云々とは逆の状況なことに不信感を抱いた。だが、使えるものは使おうとさらに調べていくと、「小規模事業者持続化補助金」が一番適していると分かり、募集要項の正式発表までまだ数か月ある状態だったが、先に必要な書類を集め始めていた。

そして、募集要項が正式に発表されるといろいろと質問したいことがあったので、国の事務局や商工会議所に電話をしていった。だが、結論から言うと、使いようがない補助金であることが分かった。補助対象の経費は全てで8つの項目になっているが、その中でもウェブ関連費のみでは申請できない。私が考えていた、構造系ソフトや動画データの作成はその8つの項目で言うと、全てウェブ関連費の扱いとなってしまう。事務局の人と話をしていると、ウェブ関連費は目に見えないので、販促のためのチラシを作ってもらったりして、目に見える形の物の方が補助金が下りやすいとのこと。ただ、AIの進化がどうこうという、このご時世で紙媒体等を勧め、目に見えないウェブ関連費での申請ができないのでは、終わってるなと思わされた。国がいまだこんな状態では、日本は昭和から逃れられないとも思った。

実際、設計事務所の業務形態も以前は紙に図面を書く、紙の申請書に記入して提出する、設計図書の全てに印鑑を押印する等、アナログの最たる業態だった。しかし、申請もPDFでネット申請が可能な確認検査機関もあり、施工者に見積依頼するのもデータをメールでやり取りすることが多くなった。それでも組織や個人にも寄るが、紙での申請書提出や印鑑の押印、FAXでのやり取りを求められることもあり、世の中の動きに対して動いている人達と動かずとどまっている人達の乖離の大きさに驚かされることも多い。

私もCADではなくBIMを使ったり、打合せにVRゴーグルを取り入れたりしている。当たり前だが、今までなかったものを使おうとすると、費用も手間もかかる。だが、その分、建築主により分かり易く計画内容を説明できたり、図面では確認できなかったことも3Dモデルで確認できるようになったりして、メリットは大きい。

どんな仕事も顧客に価値を提供することが仕事の本分だと思う。世の中の流れに抗い、同じ場所に立ち止まったままの仕事は価値提供としては不十分だと思う。費用も手間もかかるとしても、より良い価値を提供できる可能性があるなら新しいことやものを取り入れていくべきである。

田中洋平 について

大学で建築と法律を学びました。 大学卒業後は木造の戸建住宅やS造・RC造の事務所や福祉施設等の 様々な構造・用途の建築設計に携わりました。 また現在も、日々、建築と法律の勉強を続けています。 建築(モノ)と法律(ヒト)のプロフェッショナルとして 多様な知識・経験・考え方を通して、 依頼主が望み、満足し、価値を感じる、 一歩先の新たな価値観を提案します。
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