リノベーションとは

リノベーション工事を計画している案件で現在、相見積を行っている。
先日も候補の施工者と現場打合せを行った。

そもそも、リノベーションと同じような意味で使われる言葉にリフォームという言葉もある。リフォームは「新築だった頃の状態に戻すための工事=現状復旧」、リノベーションは「新築時よりも利便性を向上させてプラスの価値を加えるための工事=現状復旧+付加価値」という感じである。

今回はリノベーション計画である。また、設計者目線からすると、新築の場合は建物を計画する土地は更地のことが多いので、白いキャンバスに絵を描いていくイメージである。逆に、リノベーションの場合、敷地が既存の建物とも言えるので、新築に比べると難易度が上がる。

既存の建物の図面があればまだましだが、その図面がないことも多い。そうなると、一から調べる必要がある。また、今年の春に建築基準法が改正されて、屋根や外壁を触る場合は確認申請が必要となった。昔の建物は検査済証を取得していないことも多く、その場合は、すでに建物は建っているが、その既存建物の構造や設備も合わせて一から申請する必要が出てきて、ほぼ対応不可能な申請内容となってくる。

そして、施主からすると、リノベーションはすでに建物があるのだから安く工事ができると考えていることが多いが、建物を一部解体することで解体撤去費用がかかり、すでにある建物自体が施工の邪魔になってくる部分もあり、施工手間もかかってくる。結局、新築で建てるよりは安くはなるが、あくまで新築で建てるよりはのレベルで、それなりの金額はかかってしまう。

リノベーション予定の建物。延床面積600㎡程度あり、かなり大きい。

現在、概算見積を依頼しているものの、見積が上がってくる前から予算と希望計画内容の見積金額が合わない可能性が予見され、すでに頭を悩ましている。最近は物価高、建設費高騰の影響で見積依頼をする度に気が滅入る。以前から施主の予算と希望する計画内容はほぼ100%合わないのは当たり前だったが、それでもいろいろと調整していけばなんとか軟着陸はできる感覚はあったが、ここ最近はそもそも計画自体が白紙になるのでは、というぐらいの予算と計画の乖離が大きくなって、途方に暮れることが多い。

設計者の工夫でコストを抑えつつ、計画内容もより良いものに、は心掛けているが、それでも限界はある。だが、「諦めたらそこで試合終了ですよ」とも思うので、諦めずに頭をフル回転させて食らいついていく覚悟で臨んでいる。

田中洋平 について

大学で建築と法律を学びました。 大学卒業後は木造の戸建住宅やS造・RC造の事務所や福祉施設等の 様々な構造・用途の建築設計に携わりました。 また現在も、日々、建築と法律の勉強を続けています。 建築(モノ)と法律(ヒト)のプロフェッショナルとして 多様な知識・経験・考え方を通して、 依頼主が望み、満足し、価値を感じる、 一歩先の新たな価値観を提案します。
カテゴリー: 建築 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です