完成が近づいてきた工事中の案件で建築主と現場監督も交え、現場打合せを行った。大きな変更内容等はないものの、発注段階になった今の段階でメーカー都合で一部廃番になっていた仕様があったり、他の仕上がっている部分との兼ね合いで再検討した方が良い部分等もあり、約3時間の打合せとなった。終わりは見えてきたものの、まだまだ気を抜けない状況である。
建物自体は年内の完成に目途が付いたが、その後工程の植栽工事が年末が近いこともあって工事完了が年内では難しく、年明けに完了する予定となったため、引渡しも年明けにすることになった。建築の現場はどうしても玉突き的に物事が進むためになかなか思ったようには動かない。それでも職人さんに無理をさせて仕上りが悪くなっては意味もないので、焦っては欲しくないが、急いではもらいたいという矛盾した状況に陥りがちだ。
予定では2026年の1月末の引渡。打合せが始まったのが2023年の2月なので、結局、初回打合せから引渡しまでちょうど3年かかったことになる。ガラススクリーンの仕上がりに喜んだこともあれば、確認検査機関とのやり取りで怒りが爆発しそうになったこともある。構造検討のやり取りで哀しい気分になったこともあれば、建築主との打合せが楽しかったことも思い出される。本当にいろいろとあった。設計案件としては、今までで一番時間もかかったが、自分の設計事務所開業後ちょうど10年目の節目となる案件になったようにも思う。
現場に通うのも残り数えるほどとなった。建築主の依頼で設計して引渡しまでが仕事だから当然なのだが、この家と接する機会がいったんは終わることが悲しく思える。それぐらいに思える建物の設計をこれからも続けていきたいと思う。