職業選択の自由、表現の自由(2024司法試験-憲法)

1.犬猫販売業の免許制(規制①)(職業選択の自由)

・経済的自由権
:職業選択の自由、居住・移転の自由、財産権

・憲法22条1項
:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

・職業選択の自由
:自己の従事する職業を決定する自由+営業の自由(自己の選択した職業を遂行する自由)

・職業
:人が自己の生計を維持するためにする継続的活動であるとともに、分業社会においては、これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するものである。(薬事法判決-最大判S50.4.30)

・厳格な合理性の基準
:裁判所が規制の必要性・合理性および「同じ目的を達成できる、より緩やかな規制手段」の有無を立法事実に基づいて審査。

・明白の原則
:立法府がその裁量権を逸脱し、当該規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とする方法。

2.犬猫販売業の広告規制(規制②)(表現の自由)

・憲法21条1項
:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

・表現の自由を支える価値
:個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値(自己実現の価値)と言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという民主政に資する社会的な価値(自己統治の価値)

・二重の基準
:表現の自由を中心とする精神的自由を規制する立法の合憲性は経済的自由を規制する立法よりも、特に厳しい基準によって審査されなければならない。
↓根拠
①経済的自由は民主政の過程が正常に機能する限り、議会でこれを是正することが可能である。それに対して、精神的自由は民主政の過程そのものが傷つけられるために裁判所が積極的に介入する必要があるため。
②経済的自由の規制について審査する能力に乏しい裁判所としては、特に明白に違憲と認められない限り、立法府の判断を尊重する態度が望ましいため。

参考文献
:憲法〔第八版〕・芦部信喜(岩波書店)
 憲法判例百選Ⅰ〔第7版〕(有斐閣)
 司法試験の問題と解説2024・法学セミナー編集部(日本評論社)

田中洋平 について

大学で建築と法律を学びました。 大学卒業後は木造の戸建住宅やS造・RC造の事務所や福祉施設等の 様々な構造・用途の建築設計に携わりました。 また現在も、日々、建築と法律の勉強を続けています。 建築(モノ)と法律(ヒト)のプロフェッショナルとして 多様な知識・経験・考え方を通して、 依頼主が望み、満足し、価値を感じる、 一歩先の新たな価値観を提案します。
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