人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である

人間、暇だとどうしても悪いことを考えがち。まだ今年は終わっていないが、今年は仕事は忙しいものの、建設費高騰の影響もあり、予算の都合で仕事が止まっているような状況の案件が多かった。

コロナ禍の時は状況が状況だけに建築主から仕事を進めるのを待ってくれと言われ、待ち続けた挙句、その時に動いていた案件が全て吹き飛んだ。案件が止まった時もパニックになったが、全てが仕事として吹き飛んだ時もさらにパニックになった。設計事務所の仕事は毎月給料が支払われる訳ではない。建築主の望む建築物が完成するように日々、手を動かし頭を使って、その完成が現実化して初めてその対価としての設計料を支払ってもらえる。また、状況が変わったからすぐに建ててくれと言われても、工事ができるレベルの設計図書の準備にはとても時間がかかる。だから、建築主から手を止めてくれと言われても、先々を考えれば完全に手を止める訳にもいかないが、案件自体がなくなり設計料が支払わなければその手を動かし頭を使った、時間と手間は無意味と化す。

だが、日々、いろいろな出来事があるが、少し深呼吸してその出来事を眺めれば、その瞬間は悲劇であったり辛い出来事かもしれないが、時間を置いたり距離を取って眺めてみれば、悪いことばかりではないし、良い事の場合ですらある。

今年は下手すれば思考停止で悪い方向に思考が行きかねない状況ではあった。コロナ禍の時の記憶が甦った。今年はコロナの代わりに物価高騰かもしれないとも思えた。だが、良くも悪くも今までの経験から細心の注意を払いつつも、その悪い思考に捕われず、その時その時にすべきことをしっかり行い、近視眼的に物事を見ないように注意していけばそんな悪いことにならないことは分かっていたので、黙々と作業を続けた。結果、工事中の案件も設計中の案件もより良い方向に進んでいけそうだ。逆に、この停滞した時間があったからこそ設計を深める時間を作れたように思う。

複数の止まっていた案件が時を同じく、動き出そうとしている。年中無休で働いているが、今年の年末年始もバリバリ手を動かし頭を使うことになりそうだ。ただ、思考停止せずにすべきことをしておいたおかげで多少なりとも時間に追われ続けることなく、楽しく設計作業を進められそうだ。

設計事務所をやっていくには、さらには他の商売や仕事でも同じことのように思うが、悲劇や喜劇のような出来事が誰の元にも起こってくるが、物事は必ず両面を見る必要がある。そして、勝手にどちらかと決めつけることも良くない。結局、その両面を見極め、すべきことをしっかりやっていくことが唯一の方法なんだと思う。

田中洋平 について

大学で建築と法律を学びました。 大学卒業後は木造の戸建住宅やS造・RC造の事務所や福祉施設等の 様々な構造・用途の建築設計に携わりました。 また現在も、日々、建築と法律の勉強を続けています。 建築(モノ)と法律(ヒト)のプロフェッショナルとして 多様な知識・経験・考え方を通して、 依頼主が望み、満足し、価値を感じる、 一歩先の新たな価値観を提案します。
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