この1,2週間、朝から晩まで特記仕様書を作成している。特記仕様書とは、仮設工事・土工事、内装工事等の各工事の特別の内容を記載した文字だけの図面である。優先順位としては、意外にも計画内容が記載されている設計図よりも優先順位が高い図面となる。木造住宅等でも原則、特記仕様書を付けるべきで、実際、私も事務所を始めた当初は図面に添付していた。だが、フラット35の木造住宅工事仕様書の仕様が世の中的には当たり前となっており、施工者が工務店であればそもそも特記仕様書をちゃんと見てくれるか怪しい部分もあり、特記仕様書をしっかり作るよりは、現場監理をしっかり行った方が効果的なので、いつしか特記仕様書は作成しなくなった。
だが、現在図面作成している案件は中規模の非住宅の鉄骨造のため、万が一に備えてせっせと特記仕様書を作成している。また、特に日頃接しない鉄骨造のため、特記仕様書で内容を確定していこうとすると、設計図に戻って、この仕様で良いのかどうかを再度検討したりして、特記仕様書と設計図を行きつ戻りつしているので、とても時間がかかる。
直近で完成した案件は住宅ではあったが、1階RC造、2,3階木造の住宅だった。特記仕様書は作成していなかったが、特殊な案件だったため、詳細図作成にとても時間がかかった。だが、時間をかけて詳細図を作図した分、現場で困ることはほぼなかった。改めて、設計段階での図面作成を詰めて詰めて行うことがとても重要と感じた。
それもあって、特記仕様書の作成に今は必死に取り組んでいる。図面の精度が微妙でも施工者が優秀ならしっかりした建物が出来上がることもある。だが、図面の精度通りの完成もありうる。そして、設計者の本分は設計図をしっかり書くことである。図面も書きだしたらきりがない所もあり、現場が始まればあまり意味のない図面ということもある。どこで線引きするかのさじ加減もあるが、敷地の状況、計画内容、コスト面、等の要素を総合的に勘案すれば最低限の線引きすべき所は見えてくる。
この案件は申請・届出を15通程度は提出し、コスト面でもまだ調整に時間がかかることが明らかなので、今、必死に図面を書いても多くの修正が発生する可能性があり、無駄に終わる図面も出てくるかもしれないが、それでも設計者の本分である、検討を重ねた図面作成を詰めて詰めて行うことが結果に結びつくことも分かっているので、手を抜かず愚直にすべきことをしていくだけだ。高い山を息を切らせながら一歩ずつ登っている感覚に近いが、きっと頂上から見える景色は良いものになるだろう。