現場確認と打合せ

建築主がかなり忙しい方で現場を見たいとなっても日時がなかなか合わない。私の方は別個で定期的に現場を訪れているので、今後は一緒に日時を合わせて現場確認をしようということになった。

現場は下地工事がおおよそ終わり、仕上げ工事に差し掛かっている状態。
どんな現場を訪れても毎回思うが、現場状況を確認しながら、頭の隅では、打合せを行い、何度も検討の上で決めた計画だとしてもその図面に記載のある寸法で本当に良かったのか、その仕様で良かったのか、他の選択肢の可能性はないのか、等は頭の中を過ぎる。正解というものは元々ないし、図面を作成する中で何度も検討してきたからきっとそれが妥当だったと思うが、考え出すときりがないぐらいに考えることもある。また、現場が始まると設計者が現場監理をするが、それはあくまで図面通りに作られていっているかの確認しかできない。その計画内容が正解なのかは誰も分からない。

そして、設計という仕事は建築主の言いなりにもなれる。施工者の言いなりにもなれる。だが、そうなったらおしまいだとも思っている。設計者のエゴを押し通すのも違うと思うが、設計者のより良い建物へしようとする粘り強い姿勢を失くすことも違うと思う。これもどちらが正解という訳でもなく、その時の建築主や施工者との関係性によって左右される。

私個人の思いとしては、私が設計する建物はある意味、自分の分身だと考えている。建物が建ってしまえば同じ場所に何十年とそこに在り続ける。その建物の所有者は建築主だとしても、その計画に携わった設計者がその建物になんの感情も湧かないまま、なんの思い入れもないまま計画されてその場所に在り続けるのは可哀そうだとも思う。

現場が始まってしまえば設計者にできることはかなり限られてしまうが、それでも建築主と現場を一緒に訪れたり、一緒に内容を再確認したりする中でその建物への思いが少しでも伝わればと考えながら、今後も現場へ足を運ぶ。

田中洋平 について

大学で建築と法律を学びました。 大学卒業後は木造の戸建住宅やS造・RC造の事務所や福祉施設等の 様々な構造・用途の建築設計に携わりました。 また現在も、日々、建築と法律の勉強を続けています。 建築(モノ)と法律(ヒト)のプロフェッショナルとして 多様な知識・経験・考え方を通して、 依頼主が望み、満足し、価値を感じる、 一歩先の新たな価値観を提案します。
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